KENWOOD KT−9900. 2台目修理記録
平成20年9月10日到着   平成21年1月18日完成
A. 修理前の状況
  • 10年ほど前に専門店で中古品として購入しました。
    コンディションは良好で、傷もほとんどありませんでした。
    当初はFMアンテナを接続して聞いていましたが、数年前にCATV加入時にアンテナを撤去し、
    CATVに入っているFM局数が少ないため、使用を中断、お蔵入りしていました。
    昨年から久しぶりにカムバックして使用再開しましたが、最近になって、時々「ガサゴソ」ノイズが入るようになり、
    8月になって突然、音が出なくなりました。
    全く音が出ませんが、シグナルメータや、チューニングメータは反応します。
    しかし、  デビェーションメータは動きませんし、このメータをマルチパスメータに切り換えても、  反応しません。
    故障してからは、予備機のパイオニアTX8800を代わりに使用していますが、
    当時の中級機TX8800との音質の落差にびっくりしています。
    KT9900に比べてラジオを聞いているとような 印象で、自然な感じが薄れてしまいました。
    あらためてKT9900の実力に驚きました。

B. 原因
  • IF回路、MPX回路不良。

C. 修理状況
  • RF増幅、、トラッキング、IF回路、MPX回路、修理・調整。
    TR(トランジスター)交換。
    配線手直し、補強。
    フイルムコンデンサー交換。
    電解コンデンサー交換。
    TR(トランジスター)交換。
    OP−AMP交換。

D. 使用部品
  • 電解コンデンサ−(オ−デオコンデンサ−使用)        148個。
    TR(トランジスタ−)                          23個。
    TTL−IC                                  3個。
    OP−AMP                                16個。
E. 調整・測定 FM受信感度、RL分離測定調整

EE. 上位測定器による 調整・測定


修理費 120,000円    オーバーホール修理

S. KENWOOD KT−9900 の仕様(マニアル・カタログより)

A. 修理前の状況。 画像をクリックすると、大きく(横幅2050ドット)表示されます。
A11. 上蓋を取った所。
A12. 上蓋とシールドを取った所。
A2. 下上蓋を取った所 シャシはステンレス製
A3.  IF基板ICの足の腐食
A41.  MPX基板ICの足の腐食
A42.  MPX基板ICの足の腐食2
A43.  MPX基板ICの足の腐食3
A44.  MPX基板ICの足の腐食4
A5.  DDL基板ICの足の腐食
C. 修理状況。 画像をクリックすると、大きく(横幅2050ドット)表示されます。
C11. 修理前 PowerSupply基板
C12. 修理後 PowerSupply基板  電解コンデンサー32個交換、黒ミューズが大分使用できました。
C13. 修理前 PowerSupply基板裏
C14. 修理中 PowerSupply基板裏、揺れ防止のスポンジが水分を吸収し、止めネジに錆が発生。
C15. 修理中 PowerSupply基板裏、揺れ防止のスポンジが水分を吸収し、ステンレスのシャーシに錆が発生。
C16. 修理中 PowerSupply基板裏、出来るだけ錆を落とす。
C17. 修理中 PowerSupply基板裏、新しいクションを取り付ける。
C18. 修理中 PowerSupply基板裏、熱を出す部品は半田面積を広げる。
C19. 修理(半田補正)後 PowerSupply基板裏、 半田を全部やり直す。
C1A. 完成PowerSupply基板裏。余分なフラックスを落として、コート液を塗る。
C1B. 修理前 PowerSupply基板ラッピング
C1C. 修理後 PowerSupply基板ラッピング、半田を浸みこませる。
C21. 修理前 フューズ基板
C22. 修理前 フューズ基板裏  
C23. 修理(半田補正)後 フューズ基板裏、 半田を全部やり直す。  
C24. 完成フューズ基板裏。余分なフラックスを落として、コート液を塗る。
C25. 修理前 フューズ基板ラッピング
C26. 修理後 フューズ基板ラッピング、半田を浸みこませる。
C27. 修理後 フューズ基板ラッピング、半田を浸みこませる、反対側。
C31. 修理前 RF−MIX基板
C32. 修理後 RF−MIX基板 電解コンデンサー6個交換 
C33. 修理前 RF−MIX基板裏
C34. 修理(半田補正)後 RF−MIX基板裏、 半田を全部やり直す。
C35. 完成RF−MIX基板裏。余分なフラックスを落として、コート液を塗る。
C41. 修理前 IF基板
C42. 修理後 IF基板 電解コンデンサー14個、OP_AMP2個、TR(トランジスター)4個交換
C43. 修理前 IF基板裏
C44. 修理(半田補正)後 IF基板裏、 半田を全部やり直す。
C45. 修理中 IF基板裏、不要フラックスを落とす。
C46. 完成IF基板裏。余分なフラックスを落として、コート液を塗る。
C47. 修理前 IF基板裏、ラッピング
C48. 修理後 IF基板裏、ラッピング、半田を浸みこませる。
C51. 修理前 MPX基板
C52. 修理後 MPX基板 電解コンデンサー34個、TTL−IC=2個、OP−AMP6個、TR(トランジスター)6個交換
C53. 修理前 MPX基板裏  
C54. 修理(半田補正)後 MPX基板裏、 半田を全部やり直す。 表に移動可能な部品は移す。  
C55. 修理中 MPX基板裏裏、不要フラックスを落とす。
C56. 完成MPX基板裏。余分なフラックスを落として、コート液を塗る。
C57. 修理前 MPX基板裏基板ラッピング
C58. 修理後 MPX基板裏基板ラッピング、半田を浸みこませる。
C59. 修理前 MPX基板裏基板ラッピング2
C5A. 修理後 MPX基板裏基板ラッピング2、半田を浸みこませる。
C5B. 修理前 MPX基板裏基板ラッピング3
C5C. 修理後 MPX基板裏基板ラッピング3、半田を浸みこませる。
C61. 修理前 DDL基板
C62. 修理後 DDL基板 電解コンデンサー30個、OP_AMP6個交換
C63. 修理前 DDL基板裏
C64. 修理(半田補正)後 DDL基板裏、 半田を全部やり直す。
C65. 修理中 DDL基板裏、不要フラックスを落とす。
C66. 完成DDL基板裏。余分なフラックスを落として、コート液を塗る。
C67. 修理前 DDL基板ラッピング
C68. 修理後 DDl基板ラッピング、半田を浸みこませる。
C71. 修理前 PulseCounter基板、唯一「コネクター使用」で取り出せる基板
C72. 修理後 PulseCounter基板 電解コンデンサー16個、OP_AMP1個、TTL−IC1個、TR(トランジスター)9個交換
C73. 修理前 PulseCounter基板裏
C74. 修理(半田補正)後 PulseCounter基板裏、 半田を全部やり直す。
C75. 完成PulseCounter基板裏。余分なフラックスを落として、コート液を塗る。
C81. 修理前 SW基板
C82. 修理後 SW基板、TR(トランジスター)3個交換
C83. 修理前 SW基板裏
C84. 修理(半田補正)後 SW基板裏、 半田を全部やり直す。
C85. 修理(半田補正)後 SW基板裏、左奥
C86. 修理(半田補正)後 SW基板裏、右奥
C87. 完成SW基板裏。余分なフラックスを落として、コート液を塗る。
C88. 修理前 SW基板裏ラッピング1
C89. 修理後 SW基板裏ラッピング1、半田を浸みこませる
C8A. 修理前 SW基板裏ラッピング2
C8B. 修理後 SW基板裏ラッピング2、半田を浸みこませる
C8C. 修理前 SW基板裏ラッピング3
C8D. 修理後 SW基板裏ラッピング3、半田を浸みこませる
C8E. 修理前 SW基板裏ラッピング4
C8F. 修理後 SW基板裏ラッピング4、半田を浸みこませる
C91. 修理前 RCA端子ラッピング
C92. 修理後  RCA端子ラッピング、半田を浸みこませる。
CA1. 修理前 アース端子ラッピング1
CA2. 修理後 アース端子ラッピング1、半田を浸みこませる
CA3. 修理前 アース端子ラッピング2
CA4. 修理後 アース端子ラッピング2、半田を浸みこませる
CB1. 交換部品
CB2. 交換部品、足の腐食した交換TR(トランジスター)
CB3. 交換部品、足の腐食した交換IC(集積回路)
CC1. 修理前 上から
CC2. 修理後 上から
CC3. 修理前 下から
CC4. 修理後 下から
E. 調整・測定 FM受信感度、RL分離測定調整。 画像をクリックすると、大きく(横幅2050ドット)表示されます。
     <見方>
     最上段のFMステレオ信号発信器より、85.0MHZで、400HZ(1KHZ)の変調信号を、40dBで出す。これを受信し出力を測定する
    中段左端 電圧計=L側出力電圧測定、黒針のみ使用
    中段中左 歪み率計=出力の歪み率測定 左メータ=L出力、右メータ=R出力
    中段中右 電圧計=R側出力電圧測定、赤針のみ使用
    中段右端 オシロ=SP出力波形 上=R出力、下=L出力(実際にはRL電圧計の出力「Max1V」を観測)
    下段中右上 デジタル電圧計=R出力電圧測定
    下段中右下 デジタル電圧計=L出力電圧測定
    アナログ電圧計はRLでレンジが異なります、それに伴い出力波形観測オシロもレンジが異なります
    主出力レンジ=500mV、SUB主出力レンジ=15mVMaxレンジです
 E11. FM 感度、RL分離測定調整
       R側、1000HZ
       歪み率=0.07%
       出力電圧=0.65V
 E12. FM 感度、RL分離測定調整
       L側、1000HZ
       歪み率=0.08%
       出力電圧=0.57V
E21. FM 感度、RL分離測定調整
       R側、400HZ
       歪み率=0.07%
       出力電圧=0.68V
E22. FM 感度、RL分離測定調整
       L側、400HZ
       歪み率=0.07%
       出力電圧=0.59V 
F. 上位測定器による 調整・測定。 画像をクリックすると、大きく(横幅2050ドット)表示されます。
F1. 左下のSSGより信号を受信測定
F2. 入出力特性測定
                 周波数=85MHZ、変調度(Deviation)=100%、信号強度=100dBμ
F3. 24時間エ−ジング。
S. KENWOOD KT−9900 の仕様(マニアル・カタログより) 
型式 FMチューナー KT−9900
受信周波数範囲 76MHz〜90MHz
アンテナインピーダンス(A,B2系統) 300Ω平衡  75Ω不平衡
感度 (75Ω) 
    (300Ω)
10.8dBf(新IHF) 0.95μV(IHF) 
10.8dBf(新IHF)
SN比50dB感度(75Ω) MONO=15.8dBf(新IHF)/1.7μV(IHF) 
STEREO=37.2dBf(新IHF)/20μV(IHF) 
ひずみ率          WIDE    100Hz    0.02%(MONO)  0.06%(STEREO)
        1kHz     0.03%(MONO)  0.04%(STEREO)
        6kHz     0.05%(MONO)  0.07%(STEREO)
        15kHz    0.03%(MONO) 0.25%(STEREO)
      50Hz〜10kHz 0.05%(MONO)  0.09%(STEREO)
NORMAL 100Hz     0.02%(MONO)   0.1%(STEREO)
        1kHz     0.06%(MONO)   0.09%(STEREO)
        6kHz     0.15%(MONO)   0.15%(STEREO)
        15kHz    0.03%(MONO)    0.4%(STEREO)
      50Hz〜10kHz 0.15%(MONO)  0.12%(STEREO)
NARROW 100Hz    0.02%(MONO)     0.2%(STEREO)
        1kHz       0.4%(MONO)     0.2%(STEREO)
        6kHz     0.15%(MONO) 0.15%(STEREO)
        15kHz    0.03%(MONO)    0.9%(STEREO)
      50Hz〜10kHz   0.4%(MONO) 0.25%(STEREO)
SN比  (100%変調1mV入力) MONO=90dB
STEREO=84dB
キャプチャーレシオ WIDE=0.8dB、 NORMAL=1.0dB、 NARROW=1.5dB
選択度(IHF) NARROW 60dB(±300kHz) 
NORMAL  60dB 
WIDE    35dB
ステレオセパレーション 
  
WIDE     1kHz        60dB 
         50Hz〜10kHz   50dB 
         15kHz       40dB 
NORMAL   1kHz        55dB  
         50Hz〜10kHz   45dB 
         15kHz       38dB 
NARROW  1kHz         50dB 
         50Hz〜10kHz   40dB 
         15kHz        33dB
周波数特性 10Hz〜16kHz、  +0.2dB −0.5dB
イメージ妨害比   125dB
IF妨害比       125dB
スプリアス妨害比  125dB
AM抑圧比 70dB
サブキャリア抑圧比  73dB 
レックキャリブレーション 440Hz 50%変調
出力レベル & 出力インピーダンス
      (FM 1kHz 100%変調)
FIXED= 0.75V/60Ω
VARIABLE= 0〜1.5V/60Ω
マルチパス出力 垂直出力=0.01V/10kΩ 
水平出力= 0.5V/3kΩ
電源電圧・電源周波数 100V  50Hz/60Hz
定格消費電力 50W (電気用品取締法に基づく表示)
最大外形寸法 約460mm(W)×161mm(H)×463mm(D)
重量 約15kg
価格 ¥200,000(1978年発売)
                    kt9900-22s
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