Mcintosh MC275. 5台目修理記録
平成22年1月28日持込   6月11日完成
A. 修理前の状況
  • YAHOOオークションで購入した物です。
    昨年の暮れに、レコードを聞こうと電源を入れた途端、 突然スピーカー接続ネジの裏側辺りから「ショー」と音がして、閃光が光り。
    トランスを背にして左から3番目の真空管が、けたたましく 破裂しそうな音を上げて、電源が切れた。
    それに繋がれている電解コンデンサーも過剰電流が流れたような気がした。
    裏蓋を開けてみると、コンデンサー等はダメなものもありました。


T. 修理前点検測定

B. 原因
  • 経年劣化

C. 修理状況
  • 終段(KT−88)ソケット交換。
  • 前段MT管ソケット交換。
  • ブロック電解コンデンサー交換。
  • フイルムコンデンサー交換。
  • 配線手直し、補強。
  • 接続端子交換。
  • ブロック電解コンデンサー交換。

K. 不良真空管「KT−88」修理状況

U. TubeTester HickokTV−2C/Uによる付属真空管測定

D. 使用部品
  • USソケット                       4個。
  • タイト製MTソケット                  7個。
  • 電解コンデンサー                  11個。
  • フイルムコンデンサー                18個。
  • SP接続端子                      2個。
  • ブロック電解コンデンサー「ElNA Cerafine」   2本。
  • ブロック電解コンデンサー「TMC」          2本。

E. 調整・測定

F. 修理費   120,000円    オーバーホール修理
                         但し、真空管は別途

S. Mcintosh MC275 の仕様(マニアル・カタログより)

このクラスのKT−88は良質な物を選択すること。
又、前段12AZ7/12AT7と直結なので、こちらも同様の配慮が必要。


A. 修理前の状況
A11. 点検中 前から見る、KT−88の頭の「黄色テープ」は不良品を示す
A12. 点検中 前左上から見る
A13. 点検中 左から見る
A14. 点検中 後から見る
A15. 点検中 後右上から見る
A16. 点検中 右から見る
A21. 点検中 上から見る
A22. 点検中 真空管を抜き、上から見る
A23. 点検中 SP接続端子、入力RCA端子、VR、SWを見る
A24. 点検中 SP接続端子
A25. 点検中 SP接続端子、新品と交換可能
A27. 点検中 KT-88用USソケット比較
A28. 点検中 MT9ピンソケット比較
A31. 点検中 下から見る
A32. 点検中 下前から見る
A33. 点検中 下左前から見る
A34. 点検中 下左から見る
A35. 点検中 下後から見る
A36. 点検中 下右前から見る
A37. 点検中 下右から見る
A41. 点検中 下ケース裏、 を見る
A42. 点検中 下ケース裏、 電解コンデンサーの液漏れ跡?
A43. 点検中 電解コンデンサーの液漏れ跡?
A44. 点検中 液漏れ電解コンデンサー
A45. 点検中 交換する、ブロック電解コンデンサー、2本使用する。 入手難な「ElNA Cerafine」。
A46. 点検中 前段のパスコンを交換する、ブロック電解コンデンサー。
A5. 点検中 下ケースを取り下から見る
A61. 点検中 基板上のコンデンサー類、製造時のまま
A62. 点検中 基板上のコンデンサー類、液漏れした電解コンデンサー
A63. 点検中 基板上の抵抗類、製造時のまま
A71. 点検中 整流基板、高圧整流ダイオードが交換され、バイアス整流器にダイオードが取り付けられています。
A72. 点検中 VR裏配線、製造時のまま
A73. 点検中 突入電流抑制素子、製造時のままでボロボロ! 取り付け位置が異なる!
T. 修理前点検測定
T0. 出力・歪み率測定
     「見方」。
   下段左端 オーディオ発振器より400HZ・1KHZの信号を出し(歪み率=約0.003%)これをAMPに入力し、出力を測定。
   下段中央 オシロ=入力波形(オーディオ発振器のTTLレベル表示)。
   上段左端 交流電圧計=L側出力電圧測定、黒針のみ使用。
   上段中左 歪み率計=出力の歪み率測定 左メータ=L出力、右メータ=R出力。
   上段中右 交流電圧計=R側出力電圧測定、赤針のみ使用。
   上段右端 オシロ=出力波形表示、 赤表示=R出力、黄色表示=L出力。(実際にはRL交流電圧計の出力「Max1V」を観測)。
   下段中右上 デジタル電圧計=R出力電圧測定。
   下段中右下 デジタル電圧計=L出力電圧測定。
T1. R側SP出力18V=40W 歪率=7% AUX入力 1000HZ。 電源電圧は100V50HZ。
 
T2. L側SP出力19V=45W 歪率=5% AUX入力 1000HZ
 
T3. R側SP出力18V=40W 歪率=10% AUX入力 400HZ
 
T4. L側SP出力19V=45W 歪率=4% AUX入力 400HZ
 
C.修理状況
C11. 修理前 基板
C111. 修理中 基板表の抵抗を外さないと、コンデンサーのリード線が外せない。
            コンデンサーの寿命が抵抗より長いと考え、抵抗の交換を安易にするための処置方法。
C112. 修理中 基板表の抵抗を外さないと、コンデンサーのリード線が外せない。
            コンデンサーの寿命が抵抗より長いと考え、抵抗の交換を安易にするための処置方法。
C12. 修理中 基板、 配線をしっかりと巻き付ける、半田が無くても固定され、しっかり導通がある。
C13. 修理(ハンダ補正)後  基板、 さらに、半田を流し込み、固定する。
C15. 修理前  基板裏
C16. 修理(交換)後  基板裏、 コンデンサー交換
C21. 修理前 R側KT−88ソケット裏配線
C212. 修理中 配線中はジャンク真空管を挿入し、電極を固定して行う。
C22. 修理後 R側KT−88ソケット裏配線、ソケットを交換し、配線完了。
C23. 修理前 L側KT−88ソケット裏配線
C24. 修理後 L側KT−88ソケット裏配線、ソケットを交換し、配線完了。
C31. 修理前 V1〜V4ソケット
C32. 修理後 V1〜V4ソケット
C33. 修理前 V3〜V6ソケット
C34. 修理後 V3〜V6ソケット
C35. 修理中 V1〜V6ソケットの配線を外す。
C36. 修理(交換)後 V1〜V6ソケット。
C37. 修理中 配線中はジャンク真空管を挿入し、電極を固定して行う。
C41. 修理前 入力SW周り配線
C42. 修理後 入力SW周り配線
C51. 修理前 電解コンデンサー周り配線
C52. 修理後 電解コンデンサー周り配線
C53. 修理前 電解コンデンサー2周り配線
C54. 修理後 電解コンデンサー2周り配線
C61. 修理中 電解コンデンサー取り付けパネルを取り出す
C62. 修理後 電解コンデンサー取り付ける。
C63. 修理中 電解コンデンサー取り付けパネルを取り出す
C64. 修理後 電解コンデンサー取り付ける。
C65. 修理後 電解コンデンサー取り付ける、 入手難な「ElNA Cerafine」が光ります。
C71. 修理前 整流基板、 右端の電解コンデンサーは交換されている。
C711. 修理中 整流基板、 交換前の電解コンデンサーの端子線が残されたまま、交換されている。
C72. 修理後 整流基板、ダイオード5本交換
C73. 修理前 整流基板裏
C74. 修理後 整流基板裏、コンデンサー3個交換
C81. 修理前 突入電流抑制素周り、本来の取り付け位置のラグ端子が無い?
C811. 修理前 突入電流抑制素子拡大
C82. 修理(交換)後 突入電流抑制素子
C91. 修理前 SP接続端子
C911. 修理中 SP接続端子取り付けビス、 サビが発生している。
C912. 修理中 SP接続端子取り付けビス、 軽くK色ラッカーを吹き付ける。
C92. 修理(交換)後 SP接続端子
C93. 修理前 下ケース裏、 電解コンデンサーの液漏れ跡。
C94. 修理後 下ケース裏、 軽く塗装する。
CA1. 交換部品
CA2. 交換部品、 交換したブロック電解コンデンサー。
CA3. 交換部品、 液漏れは起きていないが、経年変化で、強度の弱い「文字刻印の場所」が膨らんでいる。
CA31. 交換部品、 交換電解コンデンサー測定、1本目。 左=30μ端子、右=100μ端子。
CA32. 交換部品、 交換電解コンデンサー測定、2本目(液漏れ品)。 左=30μ端子、右=100μ端子。
CA33. 交換部品、 交換電解コンデンサー測定、3本目。 左=30μ端子、右=100μ端子。
CA34. 交換部品、 交換電解コンデンサー測定、4本目。 左=30μ端子、右=100μ端子。
CA35. 比較のためTNC電解コンデンサー測定。 左=右=100μ端子。
CB1. 修理前 上から
CB2. 修理後 上から
CB3. 修理後 真空管を取り、上から見る
CB4. 修理前 下から
CB5. 修理後 下からみる、入手難な「ElNA Cerafine」が光ります。
K. KT−88修理状況
K1. プレート電流(Ip)の流れない不良真空管「KT−88」のソケットを外す。
K2. 不良真空管KT−88、プレートの電極線がジュネット線との溶接が取れている。
K3. 不良真空管KT−88、サポートのプレートの電極と接続する。
K4. 不良真空管KT−88、サポートのプレートの電極と接続する、拡大。
K5. 完成不良真空管「KT−88」復活、 但し、プレート電圧無供給で使用した為、相当の劣化あり。
U. TubeTester HickokTV−2B/Uによる付属真空管測定
U1.  付属真空管、左から「12BH7」1,2。 「12AZ7」1,2。
       12BH7 相互コンダクタンス=3100μmho「Ep=250V、Eg1=−10.5V、IP=11.5mA」
       12AZ7 相互コンダクタンス=6000μmho「Ep=250V、Eg1=−12V、Ip=10mA」
1960/1962/1964/1966ナショナル真空管ハンドブック、1995オーディオ用真空管マニアル、60/62/69東芝電子管ハンドブック、1962日立電子管ハンドブック、1965/1971全日本真空管マニュアル、RC15/19/26/27/28/29/30 Receiving Tube Manual、1966/実用真空管ハンドブック、1995世界の真空管カタログより。
U11. 付属真空管「12BH7」1本目ユニット1。 Gm測定=3400μmho、Ip=12.4mA。
      測定条件、「Ep=250V、Eg1=−10.5V」、Cレンジ=6000μmhoレンジでの測定。
U12. 付属真空管「12BH7」1本目ユニット2。 Gm測定=4000μmho、Ip=15mA。
U21. 付属真空管「12BH7」2本目ユニット1。 Gm測定=3200μmho、Ip=12.9mA。
U22. 付属真空管「12BH7」2本目ユニット2。 Gm測定=3600μmho、Ip=14.4mA。
U31. 付属真空管12AZ7(ECC81)1本目ユニット1。 Gm測定=4560μmho、Ip=10mA。
      測定条件、「Ep=250V、Eg1=−2V」、 Cレンジ=7500μmhoレンジでの測定。
U32. 付属真空管12AZ7(ECC81)1本目ユニット2。 Gm測定=5480μmho、Ip=12mA。
U41. 付属真空管12AZ7(ECC81)2本目ユニット1。 Gm測定=4000μmho、Ip=8.6mA。
U42. 付属真空管12AZ7(ECC81)2本目ユニット2。 Gm測定=5520μmho、Ip=10.5mA。
U5. 付属真空管左から「12AU7」 1,2 「12AX7」。
      12AX7 相互コンダクタンス=1600μmho「Ep=250V、Eg1=−2V、Ip=1.2mA」
      12AU7 相互コンダクタンス=2200μmho「Ep=250V、Eg1=−8.5V、IP=10.5mA」1960/1962/1964/1966ナショナル真空管ハンドブック、1995オーディオ用真空管マニアル、60/62/69東芝電子管ハンドブック、1962日立電子管ハンドブック、1965/1971全日本真空管マニュアル、RC15/19/26/27/28/29/30 Receiving Tube Manual、1966/実用真空管ハンドブック、1995世界の真空管カタログより。
U51. 付属真空管「ECC82」1本目ユニット1。 Gm測定=3000μmho、Ip=13mA。
      測定条件、「Ep=225V、Eg1=−8V」、 Cレンジ=6000μmhoレンジでの測定。
U52. 付属真空管「ECC82」1本目ユニット2。 Gm測定=3120μmho、Ip=13.4mA。
U61. 付属真空管「ECC82」2本目ユニット1。 Gm測定=2920μmho、Ip=12.8mA。
U62. 付属真空管「ECC82」2本目ユニット2。 Gm測定=3000μmho、Ip=13mA。
U71. 付属真空管「12AX7」ユニット1。 Gm測定=1600μmho、Ip=1.2mA。
      測定条件、「Ep=225V、Eg1=−2V」 Cレンジ=3000μmhoレンジでの測定。
U72. 付属真空管「12AX7」ユニット2。 Gm測定=1880μmho、Ip=1.4mA。
U8.  付属真空管「KT88」上から 1,2本目。
     相互コンダクタンス=11500μmho「Ep=250V、Esg=250V、Eg1=−15V、Ip=140mA」
1960/1962/1964/1966ナショナル真空管ハンドブック、1995オーディオ用真空管マニアル、60/62/69東芝電子管ハンドブック、1962日立電子管ハンドブック、1965/1971全日本真空管マニュアル、RC15/19/26/27/28/29/30 Receiving Tube Manual、1966/実用真空管ハンドブック、1995世界の真空管カタログより。
U81. 付属真空管「KT−88」1本目。 Gm測定=11200μmho、Ip=117mA。
      測定条件、「Ep=250V、Esg=250VEg1=−14V」。 Bレンジ=15000μmhoレンジでの測定。
U82. 付属真空管付属「KT−88」2本目。 Gm測定=12000μmho、Ip=116mA。
U9.  付属真空管「KT88」上から 3,4本目。 黄色マークが上で修理したもの=3本目。
U91. 付属真空管付属「KT−88」3本目。 Gm測定=10200μmho、Ip=104mA。
U92. 付属真空管付属「KT−88」4本目。 Gm測定=11500μmho、Ip=120mA。
E. 調整・測定
この機種は「初期型?」で固定バイアスなので、出力が大きいです。 又、歪み率も少ない!
E0. 出力・歪み率測定・調整、平行輸入品なので、電源電圧=115Vで使用。 左=電源電圧、右=ヒータ電圧
E1. 出力・歪み率測定・調整
    「見方」。
   下段左端 オーディオ発振器より400HZ・1KHZの信号を出し(歪み率=約0.003%)これをAMPに入力し、出力を測定。
   下段中央 オシロ=入力波形(オーディオ発振器のTTLレベル表示)。
   上段左端 交流電圧計=L側出力電圧測定、黒針のみ使用。
   上段中左 歪み率計=出力の歪み率測定 左メータ=L出力、右メータ=R出力。
   上段中右 交流電圧計=R側出力電圧測定、赤針のみ使用。
   上段右端 オシロ=出力波形表示、 赤表示=R出力、黄色表示=L出力。(実際にはRL交流電圧計の出力「Max1V」を観測)。
   下段中右上 デジタル電圧計=R出力電圧測定。
   下段中右下 デジタル電圧計=L出力電圧測定。
E21. R側SP出力28V=98W 歪率=0.2% 1000HZ。 電源電圧は115V50HZ。
 
E22. L側SP出力27V=91W 歪率=0.15% 1000HZ
E23. R側SP出力27V=91W 歪率=0.2% 400HZ
E24. L側SP出力27V=91W 歪率=0.15% 400HZ
E4. 24時間エージング、右は 絶縁型交流電源 で0〜300V/3A。 湘南高周波。
S. Mcintosh MC275 の仕様(マニアル・カタログより)
型式 管球式ステレオパワーアンプ MC275
定格出力 Stereo=75W+75W(4Ω、8Ω、16Ω)
Mono= 150W(2Ω、4Ω、8Ω)
周波数特性 16Hz〜60kHz/−0,5dB
全高調波歪率 0.5%(20〜20,000Hz 定格出力時)
SN比 90dB
入力感度/インピーダンス アンバランス= 0.5V/250KΩ
バランス= 15V/250KΩ
スピーカー出力端子 1系統×3=4Ω/8Ω/16Ω
入力端子 RCA=3系統
使用真空管 電圧増幅・ドライバー管=12AZ7、12BH7、12AU7、12AX7
出力管 =KT88×4
消費電力 240W
最大外形寸法 幅311mm×高さ203mm×奥行438mm
重量 30.5kg
                      mc275-53e
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