MusicalFidelity A−1. 21台目修理記録
2023/6/到着  9/22完成 
A. 修理前の状況
  • 購入と使用経緯
    • 社会人4年目の1984~85年頃に購入したと記憶しています。
      当時は当方、情報システムの開発/運用を生業としており、今の時代ではご法度な程、残業や土日勤務は当たり前の時代でした。
      当方には高価な機器でしたが、独特な設計・スタイル、音質にほれ込み、レコード・CD・カセットを接続してで音楽を楽しんでおりました。
      この背景より購入後、1日に長時間連続稼働することは稀でした。
    • 1997年頃私事より、当AMPは押入に収納/保管(一時は垂直にされていました)しました。
    • 2012年頃から、CD・Tunerを接続して再稼働しました。
      稼働時間は、夏場(6月~10月)は土日を含め日に1~2時間程度、これ以外の時期は平日は2時間程度、土日は長くて4~5時間程度です。
      直近2年は先の症状より、古いAVセレクタ(YAMAHA AVC100)を引っ張りだし、CD・Tunerを接続、AVC100の可変出力端子と当AMPのTuner端子を接続(当時点ではこの端子が一番安定)、AMPボリュームは12時位置に固定して当AMPを使用しています。
    • 定年して現役でなくなったこともあり、5~6時間の半日程度の連続稼働も月に1~2回程度と症状に反比例して使用が増えました。
    • 不具合症状、当方で確認した症状は以下5点です。
      過去にメーカー等へ修理/点検の依頼は行っていません。
      • @ガリ:ボリュームとセレクタに症状があります。再稼働から1年後(2013年以降)に確認しています。
          ボリュームには、11時位置から2時位置の範囲で本体とこすれを確認しています。
      • A左側出力:弱くなったり、途切れることが4~5年前から確認しています。
         セレクタポジションを変えて元のポジションに戻す、少しひねるなどで対処してきましたが、2~3年前からは起動時に左側の音が出なくなりました。電源を切り、セレクタとボリュームを大きく回す、これで治らない場合はセレクタ/ボリュームを前後させて接点を探すなど対処しました。なお、稼働時間が増えたことから、当症状は1時間程度放置すると、左側出力が安定することを確認しました。
      • BRCA端子:RCAは差し込み/引き抜きに力を要しまう。端子老朽化に伴う破損を懸念しています。
      • Cスピーカー端子:ごつくなくお気に入りの接続部です。老朽化より差し込み時にぐらつきがあり、接続に不安定感があります。
      • D電源ケーブル:接続不良等の不具合はありませんが、ケーブルは細く、長期間の使用には無理があると感じています。
    • 参考
      • スピーカー切替機を通して、Hearbeth LS3/5A(16Ω)とVictor SX500 Dolce をこのA1と接続しています。
        スピーカー接続ケーブルを含め、ケーブル類は太く重い/固いケーブルは使用しておりません。
        音源はCDが主です。レコード・カセットは機器修理が必須のため、今後に接続を検討しています。
        年のせいか、JAZZ(特にVocal)、Classicを主に聴いております。
        たまにですが、ビートルズやカーペーンターズなどの60年代ポップスも懐かしんで聞いています。


T. 終段TR(トランジスター)測定

B. 原因
  • 1部電解コンデンサー容量抜け。
    各部経年劣化。


C. 修理状況

D. 使用部品
  • 電解コンデンサー(オーディオコンデンサー使用) 31個。
    フイルムコンデンサー              4個。
    タイト製のユニバーサル・カップリング     1個。
    テフロン絶縁RCA端子          6組12個。
    SP接続端子             2組4個。
    フューズ付き3Pインレットソケット     1個。
    2連VR                   1個。
    プッシュSW                2個。
    OP-AMP                    2個。
    終段エミッター抵抗(低歪タイプ)、福島双羽電機(株)製 4個。
    終段TR(トランジスター)       1個

E. 調整・測定

F. 修理費  132,000円   オーバーホール修理

Y. ユーザー宅の設置状況

S. MusicalFidelity A−1. の仕様(マニアル・カタログより)

A. 修理前の状況。 画像をクリックすると、大きく(横幅2050ドット)表示されます。
A11. 点検中 前から見る。
A12. 点検中 前右から見る。
A13. 点検中 後から見る。
A14. 点検中 後左から見る。
A15. 点検中 上から見る。
A16. 点検中 上蓋(放熱器)を取り、上から見る。
A162. 点検中 上蓋(放熱器)を取り、上から見る。電源トランスが芯からズレている。
A17. 点検中、 上蓋裏の放熱シリコングリス。 
A21. 点検中 下から見る。
A22. 点検中 下前から見る
A23. 点検中 下前左から見る
A24. 点検中 下後から見る
A25. 点検中 下後右から見る
A31. 点検中、 右側終段TR(トランジスター)。
A32. 点検中、 左側終段TR(トランジスター)。
A41. 点検中、 入力切り替えSWがかなり揺れる
            カップリングも安い物で、「ユニバーサル型」でないので、この「ブレ」を吸収しない
A51. 点検中 SP接続端子
A52. 点検中  SP接続端子。 WBT−0730PLロジウムメッキ端子に交換可能、穴は横向き。WBT−0730も交換可能。
A53. 点検中  SP接続端子。 手持ち一般の端子に交換、穴は横向き。
A54. 点検中  SP接続端子。 手持ち一般の端子に交換可能。
A61. 点検中 電源コード。
A62. 点検中 電源コードをヒューズ付き3Pインレットに交換。
A63. 点検中 電源コードをヒューズ付き3Pインレットに交換。横向きにするとSP接続端子への通線が楽。
A71. 点検中 入出RCA端子郡
A72. 点検中 入出RCA端子郡、 テフロン絶縁のRCA端子と交換。
A73. 点検中 交換するテフロン絶縁製RCA端子。 中心電極は円筒状で4つ割方式。
A74. 点検中 WBT製RCA端子WBT−0201。 さらに複雑な構造で「カチ」と差し込み感を与える。
A75. 点検中 最近の「RCAプラグ」の中心電極は2割になっているので接触不良が起きにくい。
A81. 点検中 メインVR。日本製ALPSに交換。
A91. 点検中 終段TR(トランジスター)のエミッター抵抗(低歪タイプ)は測定中して選別使用。福島双羽電機(株)製。
A92. 点検中 終段TR(トランジスター)のエミッター抵抗(低歪タイプ)は測定中して選別使用。福島双羽電機(株)製。
                   222を4本選択する。
AA1. 点検中 電源ブロック電解トランジスター比較。 
           下=交換するTDK 22000μ/25WV、上=付いているRubycon 10000μ/25WV。
C.修理状況。 画像をクリックすると、大きく(横幅2050ドット)表示されます。
C10. 修理中 基板等を取り外したシャーシ。 後パネル加工があるので、トランスや電源SWも外す。
C11. 修理前 基板
C112. 修理前 基板、終段TR(トランジスター)を放熱器と共に外す。
C12. 修理後 基板 電解コンデンサー31個、OP−AMP2個交換。フイルムコンデンサー9個追加。エミッター抵抗(低歪タイプ)4本交換福島双羽電機(株)製。
C13. 修理前 基板裏
C14. 修理(半田補正)後 基板裏、 半田を全部やり直す。フイルムコンデンサー5個追加。
C15. 完成基板裏 洗浄後コーテング材を塗る
C16. 修理中、 メインVR交換。 VRの端子は弱いので曲げない方が良い。
C17. 修理(交換)後、 メインVR交換。 端子間はジャンパーを取る。
C21. 修理前 AMP基板
C22. 修理後 AMP基板。
C23. 修理前 AMP基板裏
C24. 修理(半田補正)後 AMP基板裏、 半田を全部やり直す。
C25. 完成AMP基板裏 洗浄後コーテング材を塗る
C31. 修理前 R側AMP基板
C32. 修理後 R側AMP基板
C33. 修理前 R側AMP基板裏
C34. 修理(半田補正)後 R側AMP基板裏、 半田を全部やり直す。
C35. 完成R側AMP基板裏 洗浄後コーテング材を塗る
C41. 修理前 L側AMP基板
C42. 修理後 L側AMP基板。 テープモニターSW交換。
C43. 修理前 L側AMP基板裏
C44. 修理(半田補正)後 L側AMP基板裏、 半田を全部やり直す。
C45. 完成L側AMP基板裏 洗浄後コーテング材を塗る
C51. 修理前  EQ基板
C52. 修理後  EQ基板
C53. 修理前  EQ基板裏
C54. 修理(半田補正)後  EQ基板裏、 半田を全部やり直す。
C55. 完成 EQ基板裏 洗浄後コーテング材を塗る
C61. 修理前  MC基板
C62. 修理後  MC基板。 MC/MM切り替えSW交換。
C63. 修理前  MC基板裏
C64. 修理(半田補正)後  MC基板裏、 半田を全部やり直す。 フイルムコンデンサー1個追加。
C65. 完成MC基板裏 洗浄後コーテング材を塗る
C71. 修理前 電源基板
C72. 修理後 電源基板。 電解コンデンサー4個交換、フイルムコンデンサー4個追加。
C73. 修理前 電源基板裏
C74. 修理(半田補正)後 電源基板裏、 半田を全部やり直す。 フイルムコンデンサー4個追加。
C75. 完成電源基板裏 洗浄後コーテング材を塗る
C81. 修理前 −側電源基板
C82. 修理後 −側電源基板
C83. 修理前 −側電源基板裏
C84. 修理(半田補正)後 −側電源基板裏、 半田を全部やり直す。
C85. 完成 −側電源基板裏 洗浄後コーテング材を塗る
C91. 修理前 +側電源基板
C92. 修理後 +側電源基板
C93. 修理前 +側電源基板裏
C94. 修理(半田補正)後 +側電源基板裏、 半田を全部やり直す。
C95. 完成 +側電源基板裏 洗浄後コーテング材を塗る
CA1. 修理前 SWのカップリング、「ユニバーサル型」でないので、「ブレ」を吸収しない
CA2. 修理後、タイト製のユニバーサル・カップリングを使用。 
CA3. 修理中 入力切換SW。
CA4. 修理(清掃)後 入力切換SW。 カシメ構造なので分解出来ず、隙間より清掃する。
CB1. 修理前 入出力RCA端子
CB2. 修理(交換)後 入出力RCA端子、太いケーブルを使用出来るよう、接着材を使用する。
CB3. 修理前 入出力RCA端子裏。
CB4. 修理(交換)後 入出力RCA端子裏、太いケーブルを使用出来るよう、接着材を使用する。
C1. 修理前 SP接続端子、電源コード
CC2. 修理(交換)後 SP接続端子交換、端子の穴は横向き。 電源コードをヒューズインレットソケットに交換。
CC3. 修理前 SP接続端子裏、電源コード裏。
CC4. 修理後 SP接続端子裏、太いケーブルを使用出来るよう、接着材を使用する。
          インレットソケット裏、アースもしっかり取付。
CD1. 修理中 電源トランス下絶縁ゴムが小さい。
CD2. 修理後 電源トランス下絶縁ゴムが小さいので、厚紙を重ねる。
CD3. 修理中 湿気防止の為、軽く塗装する。
CE1. 交換部品
CE2. 交換部品、ピッシュSW。左=交換するアルプス製品、右=着いていた物。
CF1. 修理前 上から見る
CF2. 修理後 上から見る。
T1. 修理中 L側終段2SA−TR(トランジスター)測定、hfe=146。
T2. 修理中 L側終段2SC−TR(トランジスター)測定、hfe=70。
T3. 修理中 R側終段2SC−TR(トランジスター)測定、hfe=139。 
T4. 修理中 R側終段2SA−TR(トランジスター)測定、hfe=179。
T5. 修理中 「L側終段2SC−TR(トランジスター)測定、hfe=70」と交換するTR(トランジスター)測定hfe=156。
T6. 修理中 R側終段TR(トランジスター)
T7. 修理後 R側終段TR(トランジスター)。 絶縁座交換。
T8. 修理中 L側終段TR(トランジスター)
T9. 修理後 L側終段TR(トランジスター)。 絶縁座交換。
E. 測定・調整。 画像をクリックすると、大きく(横幅2050ドット)表示されます。
E0. 出力・歪み率測定・調整
    「見方」。
   上段中 右側SP出力を「Audio Analyzer Panasonic VP−7723B」により測定。
        表示LED、 左端=メモリーNo、 中左=周波数測定、 中右=出力電圧測定、 右端=歪み率測定。
   上段右端 VP−7723Bの基本波除去出力を「owon SDS8202(200MHZ)」で「FFT分析」表示。
   下段中 左側SP出力を「Audio Analyzer Panasonic VP−7723B」により測定。
        表示LED、 左端=メモリーNo、 中左=周波数測定、 中右=出力電圧測定、 右端=歪み率測定。
   下段右端 VP−7723Bの基本波除去出力を「owon SDS6062(200MHZ)」で「FFT分析」表示。
   下段左端 オーディオ発振器 VP−7201A より50Hz〜100kHzの信号を出し(歪み率=約0.003%)、ATT+分配器を通し、AMPに入力。
          よって、ダイアル設定出力レベルより低くなります。測定機器の仕様や整備の様子はこちら、「VP−7723B」「VP−7201A」。 FFT画面の見方はこちら。
E11. CD,50Hz入力、R側SP出力電圧13V=21W、 0.320%歪み。
                 L側SP出力電圧13V=21W、 0.313%歪み。
             「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=250Hz、右=1kHz。
E12. CD,100Hz入力、R側SP出力電圧13V=21W、 0.295%歪み。
                  L側SP出力電圧13V=21W、 0.292%歪み。
              「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=250Hz、右=1kHz。
E13. CD,500Hz入力、R側SP出力電圧13V=21W、 0.249%歪み。
                  L側SP出力電圧13V=21W、 0.253%歪み。
              「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=2.5kHz、右=10kHz。
E14. CD,1kHz入力、R側SP出力電圧13V=21W、 0.1778%歪み。
                 L側SP出力電圧13V=21W、 0.1800%歪み。
             「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=2.5kHz、右=10kHz。
E15. CD,5kHz入力、R側SP出力電圧13V=21W、 0.2452%歪み。
                 L側SP出力電圧13V=21W、 0.2476%歪み。
             「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=25kHz、右=100kHz。
E16. CD,10kHz入力、R側SP出力電圧13V=21W、 0.1442%歪み。
                  L側SP出力電圧13V=21W、 0.1444%歪み。
              「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=25kHz、右=100kHz。
E17. CD,50kHz入力、R側SP出力電圧13V=21W、 0.565%歪み。
                  L側SP出力電圧13V=21W、 0.580%歪み。
              「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=100kHz、右=500kHz。
E21. MM,50Hz入力、R側SP出力電圧13V=21W、 0.333%歪み。
                  L側SP出力電圧13V=21W、 0.325%歪み。
             「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=250Hz、右=1kHz。
E22. MM,100Hz入力、R側SP出力電圧13V=21W、 0.319%歪み。
                   L側SP出力電圧13V=21W、 0.322%歪み。
              「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=250Hz、右=1kHz。
E23. MM,500Hz入力、R側SP出力電圧13V=21W、 0.324%歪み。
                   L側SP出力電圧13V=21W、 0.365%歪み。
              「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=2.5kHz、右=10kHz。
E24. MM,1kHz入力、R側SP出力電圧13V=21W、 0.298%歪み。
                 L側SP出力電圧13V=21W、 0.268%歪み。
             「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=2.5kHz、右=10kHz。
E25. MM,5kHz入力、R側SP出力電圧13V=21W、 0.280%歪み。
                 L側SP出力電圧13V=21W、 0.291%歪み。
             「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=25kHz、右=100kHz。
E26. MM,10kHz入力、R側SP出力電圧13V=21W、 0.1966%歪み。
                   L側SP出力電圧13V=21W、 0.2101%歪み。
              「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=25kHz、右=100kHz。
E27. MM,50kHz入力、R側SP出力電圧13V=21W、 0.1024%歪み。
                   L側SP出力電圧13V=21W、 0.2066%歪み。
              「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=100kHz、右=500kHz。
E3. フルパワーなので、24V高速フアンが全回転でクーリング。
Y. ユーザー宅の設置状況
Y1. 設置状況.
S. MusicalFidelity A−1. の仕様(マニアル・カタログより)
型式 プリメインアンプ Musical Fidelity A1
定格出力 20W+20W(8Ω)
入力感度/インピーダンス Phono MC= 0.2mV/120Ω
Phono MM= 2mV/47kΩ
CD、Tuner、Aux、Tape= 200mV/47kΩ
RIAA偏差 30Hz〜40kHz ±0.5dB
SN比 Phono MC= 55dB以上
Phono MM= 60dB以上
CD、Tuner、Aux、Tape= 80dB以上
高調波歪率 0.5%未満(8Ω、定格出力時)
消費電力 85W(連続)
外形寸法 幅408×高さ60×奥行249mm
重量 5.5kg
価格 1984年発売、\138,000。 ¥128,000(1990年頃)
               mfa1-l3e
ここに掲載された写真は、修理依頼者の機器を撮影した物です、その肖像権・版権・著作権等は、放棄しておりません。 写真・記事を無断で商用利用・転載等することを、禁じます。
  Copyright(C) 2023 Amp Repair Studio All right reserved.