KYOCERA B−910. 3台目修理記録
平成29年3月5日到着   4月6日完成
A. 修理前の状況
  • 症状。
    • スピーカからのうなり音、ときどき出力不通 という状態になり、正常に使用できません。
  • 改造。
  • 私が学生のころ(10年少し前になりますが)に、 オークションにて中古で購入したものになります。
    中古ではありますが、入手当時は機嫌よく音を出してくれていました。
    うろ覚えですが、オークションの説明書きには「AB級」と書いてあったため、 本来A級動作であるところ、
    もしかしたら改造してあったのかもしれません。
    2年ほど前より、先に書いた症状が出始め、だましだまし使っておりましたが、
    ついにまともに使用できる状態でなくなり、今回修理を検討することとなりました。
    私の父が、私が生まれる少し前にサイバネット、その買収後に京セラに務めており、 このアンプはちょうどその頃に開発されていたものと聞き及んでいます。
    私が生まれた年、このアンプも発売となったということもあり、 末永く付き合っていきたいと考えています。
    先に書いたもの以外、特別な改造は考えていませんが、 長く付き合っていくため、内部部品のリフレッシュは躊躇なく行いたいと思います。


B. 原因
  • 左側がDC漏れ、バランスVRで調整不可。

C. 修理状況

G. 下蓋・放熱器ガラリ鉄板・取付ビス塗装

D. 使用部品

  • バイアス/バランス半固定VR                 4個。
    電解コンデンサー                        51個 。
    フイルムコンデンサー                      8個。
    整流ダイオードブリッジ                     3個。
    整流ダイオード                          7個。
    SP端子 WBT−0702             2組(定価で工賃込み)。
    RCA端子 WBT−0201              1組(定価で工賃込み)。
    3Pインレット FURUTECH FI-10(R) ロジウムメッキ   1個。
    終段TR(トランジスター)                 6組12個。

E. 調整・測定

F. 修理費     170,000円。   「オ−バ−ホ−ル修理」。

Y. ユーザー宅の設置状況

S. B−910の仕様(マニアルより)

A. 修理前の状況。 画像をクリックすると、大きく(横幅2050ドット)表示されます。
A11. 点検中 前から見る
A12. 点検中 前右から見る
A13. 点検中 後から見る
A14. 点検中 後左から見る
A15. 点検中 上から見る、ヒートシンクはハニカム構造。
A16. 点検中 ヒートシンク・左右横パネルを取り、上から見る。
A16. 点検中 ヒートシンク・左右横パネルを取りを取り、清掃後上から見る。
A21. 点検中 下前から見る
A22. 点検中 下前左から見る
A23. 点検中 下後から見る
A24. 点検中 下後右から見る
A25. 点検中 下から見る
A26. 点検中 ガラリを外し、下から見る
A3. 点検中  電源基板。
      前の2台の修理機器と異なり、フューズが取り付けられている。整流ダイオードブリッジの放熱器が小さい。
A4. 点検中 入力RCA端子。
A5. 点検中 出力SP接続端子。
A61. 点検中 電源ケーブル取り付け部
A62. 点検中 3Pインレット取り付け位置
A63. 点検中 3Pインレット取り付け位置その2
A64. 点検中 3Pインレット取り付け位置その3
A7. 点検中 終段TR(トランジスター)用電源電解ブロックコンデンサー
A8. 点検中 交換する終段TR(トランジスター)。 ICEO=50mAで測定し選別した物を使用。
                 2組48個購入し、より選別して2組12個使用。
C. 修理状況。 画像をクリックすると、大きく(横幅2050ドット)表示されます。
C11. 修理前 R側アンプブロック
C112. 修理中 R側アンプブロック基板。 基板を止める下記ビス3個が締めて無!
C12. 修理中 R側アンプブロック。 終段TR(トランジスター)
C13. 修理中 R側アンプブロック。 終段TR(トランジスター)・マイカー
C14. 修理中 R側アンプブロック基板。  トルエン溶媒の接着剤。
C15. 修理後 R側アンプブロック基板。  トルエン溶媒の接着剤を取り去り、コートを塗布後。
C16. 修理後 R側アンプブロック基板。
     終段TR(トランジスター)6個、バランス・バイアス調整用半固定VR2個、電解コンデンサー15個交換
C17. 修理後 R側アンプブロック。 2組48個購入し、より選別して2組12個使用。
C21. 修理前 R側アンプブロック裏
C22. 修理前 R側アンプ基板裏
C222. 修理前 R側アンプ基板裏、 部品の足(端子)曲げ方向不良?
C223. 修理前 R側アンプ基板裏、 部品の足(端子)曲げ方向不良2?
C224. 修理前 R側アンプ基板裏、 部品の足(端子)曲げ方向不良3?
C23. 修理(半田補正)後 R側アンプ基板裏 半田を全部やり直す。
C24. 完成R側アンプ基板裏  洗浄後防湿材を塗る
C25. 修理後 R側アンプブロック裏
C31. 修理前 L側アンプブロック
C32. 修理後 L側アンプブロック基板。 トルエン溶媒の接着剤。 
C33. 修理後 L側アンプブロック基板。  トルエン溶媒の接着剤を取り去り、コートを塗布後。
C34. 修理中 L側アンプブロック。 終段TR(トランジスター)
C35. 修理中 L側アンプブロック。 終段TR(トランジスター)・マイカー
C36. 修理後 L側アンプブロック。
     終段TR(トランジスター)6個、バランス・バイアス調整用半固定VR2個、電解コンデンサー15個交換
C37. 修理後 L側アンプブロック。 2組48個購入し、より選別して2組12個使用。
C41. 修理前 L側アンプブロック裏
C42. 修理前 L側アンプ基板裏
C422. 修理前 L側アンプ基板裏、 部品の足(端子)曲げ方向不良?
C423. 修理前 L側アンプ基板裏、 部品の足(端子)曲げ方向不良2?
C424. 修理前 L側アンプ基板裏、 部品の足(端子)曲げ方向不良3?
C425. 修理前 L側アンプ基板裏、 部品の足(端子)曲げ方向不良4?
C43. 修理(半田補正)後 L側アンプ基板裏 半田を全部やり直す。
C44. 完成L側アンプ基板裏  洗浄後防湿材を塗る
C45. 修理後 L側アンプブロック裏
C51. 修理前 プロテクト基板
C52. 修理後 プロテクト基板、リレー2個交換
C53. 修理前 プロテクト基板裏
C54. 修理(半田補正)後 プロテクト基板裏 半田を全部やり直す。
C55. 完成プロテクト基板裏  洗浄後防湿材を塗る。
C61. 修理前 電源基板。
C612. 修理中 電源基板。 トルエン溶媒の接着剤。
C613. 修理後 電源基板。 トルエン溶媒の接着剤を取り去り、コートを塗布後。
C62. 修理後 電源基板 電解コンデンサー21個、整流ダイオード7個交換。
C63. 修理前 電源基板裏
C632. 修理中 電源基板裏、足の曲げ方向を配慮して欲しい。
C633. 修理中 電源基板裏、銅箔を広げる。
C64. 修理(半田補正)後 電源基板裏 半田を全部やり直す、フイルムコンデンサー4個追加。
     写真紛失。
C65. 完成電源基板裏  洗浄後防湿材を塗る
C66. 修理前 終段TR(トランジスター)用電源電解ブロックコンデンサー
C67. 修理後 終段TR(トランジスター)用電源電解ブロックコンデンサー。フイルムコンデンサー2個追加。
C71. 修理中 電源電解コンデンサー点検、下クションがボロボロ。
C72. 修理後 電源電解コンデンサー点検、下クション交換。
C81. 修理前 電源トランス点検
C91. 修理前 電源LED表示基板・電源SW基板
C92. 修理前 電源LED表示基板裏・電源SW基板
C93. 修理(半田補正)後 電源LED表示基板裏、半田を全部やり直す。清掃後電源SW基板
C94. 完成電源LED表示基板裏 洗浄後防湿材を塗る
C95. 修理前 ヘッドホーンジャック基板
C96. 修理前 ヘッドホーンジャック基板裏
C97. 修理(半田補正)後 ヘッドホーンジャック基板裏
C98. 完成ヘッドホーンジャック基板裏 洗浄後防湿材を塗る
CA0. 修理中 裏パネルを倒し修理する。
CA1. 修理前 RCA端子
CA2. 修理後 RCA端子取り付け部穴加工。端子間隔を広げる為、外側へ拡大する。
CA3. 修理後 RCA端子 WBT−0201 を使用する。
CA4. 修理前 入力RCA端子基板
CA5. 修理前 RCA端子基板裏
CA6. 修理(半田補正)後 RCA端子基板裏  半田を全部やり直す
CA7. 完成RCA端子基板裏 洗浄後防湿材を塗る
CB1. 修理(交換)前 SP端子
CB2. 修理中  SP接続端子穴加工後
CB3. 修理(交換)後 SP端子、 WBT−0702 を使用する。
CB4. 修理後 SP端子裏配線
CC1. 修理前 電源ケーブル取り付け部
CC2. 修理中 3Pインレット取り付け部穴加工
CC3. 修理後 3Pインレット取り付け。 FURUTECH FI-10(R) ロジウムメッキ使用。
CC4. 修理後 3Pインレット裏配線、アースもしっかり取る。
CD1. 修理前 前放熱器。
CD1. 修理(清掃中 前放熱器。左側半分清掃済み。
CD3. 修理前 後放熱器。
CD4. 修理(清掃中 後放熱器。左側半分清掃済み。
CE1. 交換した部品
CE2. 交換した部品、付いていた終段TR(トランジスター)。
  • 付いていた終段TR(トランジスター)の測定。
    上2SC3281測定、ICEO=50mAで測定。Hfe=62,65、71,84、85,90。
    下2SA1302測定、ICEO=50mAで測定。Hfe=105,107,110、110,132,135。   
CE3. 交換した部品。 付いていた終段TR(トランジスター)の測定中。 ICEO=50mAで測定。   
CE4. 交換した部品、SP接続リレー。
             左=付いていた7A/250V、右=交換する10A/250V。コイル電圧は接続方法で対処。
CE5. 交換した部品、トルエン溶媒で足(引き出し線)が腐食した電解コンデンサー。
CE6. 交換した部品。 左=着いていた1000μ/100V、右=交換する1500μ/100V。
CD1. 修理前 上から見る
CD2. 修理後 上から見る
CD3. 修理前 下から見る
CD4. 修理後 下から見る
CD5. 修理前 下から見る
CD6. 修理後 ガラリ鉄板を付け、下から見る
CD7. 完成 後から見る。
CD7. 完成 後から見る。 SP端子WBT−0702に左=WBT 0681Cu、右=WBT 0681Agを挿した所。
                  RCA端子WBT 0201WBT 0101を挿した所。
G. 下蓋・放熱器ガラリ鉄板・取付ビス塗装。 画像をクリックすると、大きく(横幅2050ドット)表示されます。
G11. 修理前 下蓋の空気取り入れ口のガラリ鉄板。
G12. 修理(塗装)中 下蓋の空気取り入れ口のガラリ鉄板。
G13. 修理前 下蓋の空気取り入れ口のガラリ鉄板裏。
G14. 修理(塗装)中 下蓋の空気取り入れ口のガラリ鉄板裏。
G21. 修理前 前放熱器の空気取り入れ口のガラリ鉄板。
G22. 修理(塗装)中 前放熱器の空気取り入れ口のガラリ鉄板。
G23. 修理前 前放熱器の空気取り入れ口のガラリ鉄板裏。
G24. 修理(塗装)中 前放熱器の空気取り入れ口のガラリ鉄板裏。
G31. 修理前 後放熱器の空気取り入れ口のガラリ鉄板。
G32. 修理(塗装)中 後放熱器の空気取り入れ口のガラリ鉄板。
G33. 修理前 後放熱器の空気取り入れ口のガラリ鉄板裏。
G34. 修理(塗装)中 後放熱器の空気取り入れ口のガラリ鉄板裏。
G31. 修理中 取付けビス、錆が発生、まとめて軽く塗装する。
E. 調整・測定。 画像をクリックすると、大きく(横幅2050ドット)表示されます。
E1. 出力・歪み率測定・調整。
    「見方」。
   上段中 右側SP出力を「Audio Analyzer Panasonic VP−7723B」により測定。
         表示LED、 左端=メモリーNo、 中左=周波数測定、 中右=出力電圧測定、 右端=歪み率測定。
   上段右端 VP−7723Bの基本波除去出力を「owon SDS8202(200MHZ)」で「FFT分析」表示。
   下段中 左側SP出力を「Audio Analyzer Panasonic VP−7723B」により測定。
         表示LED、 左端=メモリーNo、 中左=周波数測定、 中右=出力電圧測定、 右端=歪み率測定。
   下段右端 VP−7723Bの基本波除去出力を「owon SDS6062(200MHZ)」で「FFT分析」表示。
   下段左端 オーディオ発振器 VP−7201A より50Hz〜100kHzの信号を出し(歪み率=約0.003%)、ATT+分配器を通し、AMPに入力。
          よって、ダイアル設定出力レベルより低くなります。測定機器の仕様や整備の様子はこちら、「VP−7723B」「VP−7201A」。 FFT画面の見方はこちら。
E21. 50Hz入力、R側SP出力電圧30V=112.5W出力、 0.0298%歪み。
             L側SP出力電圧31V=120W出力、 0.0288%歪み。
             「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=250Hz、右=1kHz。
E22. 100Hz入力、R側SP出力電圧30V=112.5W出力、 0.0293%歪み。
              L側SP出力電圧31V=120W出力、 0.0285%歪み。
              「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=250Hz、右=1kHz。
E23. 500Hz入力、R側SP出力電圧31V=120W出力、 0.0268%歪み。
               L側SP出力電圧31V=120W出力、 0.0273%歪み。
              「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=2.5kHz、右=10kHz。
E24. 1kHz入力、R側SP出力電圧31V=120W出力、 0.0262%歪み。
              L側SP出力電圧31V=120W出力、 0.0266%歪み。
             「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=2.5kHz、右=10kHz。
E25. 5kHz入力、R側SP出力電圧31V=120W出力、 0.0280%歪み。
              L側SP出力電圧31V=120W出力、 0.0285%歪み。
             「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=2.5kHz、右=10kHz。
E26. 10kHz入力、R側SP出力電圧31V=120W出力、 0.0267%歪み。
               L側SP出力電圧31V=120W出力、 0.0274%歪み。
              「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=25kHz、右=100kHz。
E27. 50kHz入力、R側SP出力電圧31V=120W出力、 0.0287%歪み。
               L側SP出力電圧31V=120W出力、 0.0391%歪み。
              「FFT分析」のオシロのカーソル周波数、左=100kHz、右=500kHz。
E3. 出力・歪み率測定中。 上放熱器が無ので、冷却フアンを全回使用する。
E4. 完成  24時間エージング、 左はYAMAHA B−1. 15台目
Y. ユーザー宅の設置状況。 画像をクリックすると、大きく(横幅2050ドット)表示されます。
Y1. 設置状況、 正面から見る。
S. B−910の仕様(マニアルより). 
増幅方式 低負荷対応純A級
定格出力 35W+35W(8Ω,20Hz〜20kHz,THD0.01%)
45W+45W(6Ω,20Hz〜20kHz,THD0.015%)
60W+60W(4Ω,20Hz〜20kHz,THD0.02%)
入力感度/インピーダンス 1.5V/30kΩ
全高調波歪率 0.005%(8Ω,20Hz〜20kHz,定格出力−3dB) 
0.01%  (4Ω,20Hz〜20kHz,定格出力−3dB)
混変調歪率 0.005%(8Ω,20Hz〜20kHz,定格出力−3dB)
0.01% (4Ω,20Hz〜20kHz,定格出力−3dB)
SN比 120dB(IHF-A,入力端子短絡)
周波数特性 DC〜200kHz+0,−3dB
ダンピングファクター 100以上(8Ω,50Hz)
フィルタ− SUBSONIC(C-COUPLED)端子 
6Hz,−6dB/oct
消費電力 450W
寸法 約430mm(W)×210mm(H)×400mm(D)
重量 約27kg
発売時の価格(1984) 定価 30万円
1984年度 Good Design Award 受賞
修理工房注
この3台目のB−910は下記の理由により、輸出使用(終段TR(トランジスター)はAB級動作)と思われる。
1.裏パネルの電源コード下に、AC120Vの印刷がある。
2.裏パネルの品番がMB-972AM002、1台目B−9102台目B910の2台はMB-972AM001
 当初から2バジョン有った?
3.トランスの品番も異なる。
  3台目B−910=TPZA6U002V-290846-NTK
  2台目B−910=TPZA6T001V-060346-NTK
  1台目B−910=TPZA6T001V-170846-NTK
4.3台目B−910終段TR(トランジスター)バイアスの調整範囲では、A級動作まで増加しない。
                      b910_33o
ここに掲載された写真は、修理依頼者の機器を撮影した者です、その肖像権・版権・著作権等は、放棄しておりません。写真・記事を無断で商用利用・転載等することを、禁じます。
 Copyright(C) 2019 Amp Repair Studio All right reserved.